津軽三味線奏者 三代目 井上成美

プロフィール

写真:井上成美

日本民謡協会指導者認定資格
第23-733号 三味線教授

郷土民謡研究成美会
三味線指導部長

本名 藤村由慈ゆうじ

1987(昭和62)年生まれ、岩手県盛岡市出身・在住。
6歳より故・初代井上成美に師事し、11歳より黒澤博幸氏に津軽三味線の手ほどきを受ける。

平成18年 故・初代井上成美師より『井上成美由』と命名される。
平成26年 三代目井上成美を襲名。

古くから受け継がれてきた民謡の三味線伴奏者としての活動を中心に、ソロ演奏や他楽器とのコラボレーション演奏など、幅広いジャンルで県内・外を問わず活動している。
また演奏者の傍ら、民謡成美会 三味線指導部長として、後進の指導も精力的に行っている。

力で押していくだけの演奏ではなく、力強さの中に繊細さと柔らかさがある演奏に定評がある。

主な受賞歴
平成13年津軽三味線コンクール全国大会 少年少女の部 優勝
平成14年全日本津軽三味線金木大会 個人中・高生の部 優勝
平成30年全日本津軽三味線金木大会
三代目井上成美率いる『岩手成美会』 団体の部Aグループ 優勝
令和元年全日本津軽三味線金木大会 個人一般A級の部 準優勝

力強さと繊細さの融合~性同一性障害を乗り越えて~

1987年7月24日、元気な女の子として誕生した。
幼い頃から自分自身の性別に違和感があり、洋服やおもちゃはいつも男児用の物を好んだ。
学生時代~20代前半は周りの目を気にし、それなりに女性らしい恰好や化粧をしていた。三味線演奏の時はもちろん女性用の着物にメイク。しかし自分の中でそれは女装でしかなく、いつしかそんな自分に疲れてくる。
26歳の頃、改めてこれからの人生を真剣に考える機会があった。10年後、20年後…自分がどう生きていたいか。このままで本当に幸せだろうか。人生は一度しか無いと考えた時、治療を決意した。

…そして2015年7月14日、戸籍を男性に変更、本名の名を由慈と改名した。
現在は男性として堂々と生きる事ができ、男性奏者としても自信を持って演奏できるようになった。
また、女性の頃からの繊細な指使いに加え、治療の一環である男性ホルモン投与による筋肉の増強により、力強さが洗練された。

人生は一度きり。性同一性障害を乗り越えた津軽三味線奏者として、これからも一生をかけて力強さと繊細さを追求していきたい。

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